発現
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- ¥800
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発行者による作品情報
累計100万部突破「八咫烏シリーズ」のベストセラー作家・阿部智里が、構想3年、満を持して書き下ろした最新長編小説。
平成と昭和、二つの時代で起こった不可解な事件。真相を求めて近づこうとする者たちを嘲笑うかのように謎は深まり、ほの暗い闇がひたひたと迫りくる。運命に導かれるようにしてたどり着いた先に待ち受けるのは、光明か絶望か。
鬼才・阿部智里の圧倒的な筆力と壮大なスケール感で、ジャンルをクロスして描く渾身作!
APPLE BOOKSのレビュー
2012年に20歳で松本清張賞を受賞してデビューした作家、阿部智里の「発現」。物語は現代と昭和40年で交互に展開し、双方で起こる不可解な事件と登場人物の関係が解き明かされていく。ミステリーとホラーの要素を隠し味にした、骨太なエンターテインメント小説。現代編では、父と兄の3人で暮らす大学生の村岡さつきが、ある出来事をきっかけに恐ろしい幻影を見るようになる。平穏な日常生活の情景の中で一気に幻覚に襲われていく様子が、畳み掛けるような筆致によりリアリティをもって読者に迫ってくる。過去編では、満州から引き挙げてきた山田省吾という青年がソ連の抑留から復員した兄の死の理由を探っていく。真相を追究する過程で明かされる戦火での兵士たちの姿には、言葉を失うほどの重みがある。心に深い傷を抱えながら生きていく人間たちの悲劇と、その救済を描いた秀作。