吉澤嘉代子は甘くファンタジックな歌で、ものごとの核心を突く。1990年、埼玉に生まれた彼女は文学好きで夢見がちな少女時代を過ごし、やがて自分の中の世界を歌にするようになる。梨木香歩の小説のように寓話的世界と現実がリンクした趣深い歌は、メジャーデビュー作となったミニアルバム『変身少女』（2014年）の時点で高い完成度を誇っていた。その後も重層的な物語をつづるシンガーソングライターとして確固たる個性を築き、他アーティストへの楽曲提供も多く行っている。