新たな首席指揮者、Kirill Petrenkoとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による初のレコーディング「悲愴」は、力強くドラマチックなサウンドが印象に残る作品だ。団員一人一人が演奏に全身全霊を捧げ、この交響曲を知り尽くし、深く掘り下げていることが分かる。また、Kirill Petrenko（キリル・ペトレンコ）が描いた音世界は力強く、表層的で単調な表現に陥ることなくこの大作のもつ内なる生命力に光を与えている。楽章のそれぞれがもつ音楽性を鮮やかに描き出しながらも、この傑作交響曲の全貌を見事に浮かび上がらせていく。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の新時代幕開けを飾るにふさわしい名演の誕生である。