奇抜なメイクと衣装に身を包んでセンセーショナルなデビューを飾り、世界中で成功を手にしたキッス。その記念すべきデビューアルバムを聴き返してみると、楽曲そのもののクオリティが、火を吹き血を吐き宙を舞う衝撃的な演出をしっかり支えていたことが分かる。「Strutter」「Firehouse」は同時期のザ・ローリング・ストーンズをもしのぐ楽しさに満ちたナンバーで、「Nothin' to Lose」「Let Me Know」はジェリー・リー・ルイスやリトル・リチャードに通じる熱いロックンロールを呼び起こす。そして、「Black Diamond」「Deuce」は、どんな部屋でもアリーナのステージに変えてしまう力を持った名曲だ。Led ZeppelinやBlack Sabbathが刻むリフの重い質感に対し、キッスが奏でるロックはどこまでも陽気で、いつだって最高のパーティーをもたらしてくれる。これこそが彼らを一過性の色物ではなく、不滅の存在へと導いたのだ。