Chopin: Études, Opp. 10 & 25

Chopin: Études, Opp. 10 & 25

ショパンは最初のエチュードを19歳で作曲した。そして、くしくもイム・ユンチャンがほとんど悪魔的ともいうべき技術的な困難さと音楽的な深遠さを併せ持つ一連の練習曲をレコーディングしたのも19歳の時だ。この韓国人ピアニストの、ショパンによるそれぞれ12曲から成る二つの練習曲集に対するビジョンは、若い演奏家ならではの大胆不敵な妙技と、彼の3倍くらいの年齢の演奏家たちが長い時間をかけて手に入れるような成熟さとを兼ね備えている。 2022年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールにおいて史上最年少で優勝を果たし、一躍世界的名声を獲得したイムは、ショーマンシップと芸術性、繊細なボイシングと精緻なアーティキュレーション、絶妙なレガートと魅惑的な強弱の表現が強力に融合された演奏をするピアニストだ。そして、これらの要素のすべてが、その際立って個性的な表現に生かされている。 「ショパンのエチュードは、いつかは越えなければならない山でした」と彼はApple Music Classicalに語る。「レコーディングに際しては、技術的に完璧でなければならないという強迫観念がありました。でも、すべての音は風に揺れる木の葉のようなもので、自然そのもののように美しくあるべきだと思うのです。ショパンはこれらの曲で人間が到達できる限界を乗り越えて、別のレベルに到達したような気がします」 イムは、特定の曲に注目するのではなく、練習曲集全体に浸ることを勧める。「これは“インスタント”な音楽ではないので、1曲だけを強調したくありません。すべての物語の細部にまで耳を傾けるべきだと思います。母親にとって出産とは、この世で最も大切で美しいものでしょう。私も同じ気持ちでこのレコーディングを行いました。もちろん、至らない点もたくさんあるのですが、このアルバムは私の息子のようなものなのです。ここにあるすべてが私にとって大切なものだと胸を張って言えます」 イムは過去の偉大なショパン作品の録音を聴いてインスピレーションを得たのだろうか?「過去のどんな演奏や録音よりも、自分の意志に最も影響を受けました」と彼は答える。「この山を越えて別の山と向き合い、その先のさらに別の山と向き合うという私の意志です」

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