「River - The Joni Letters」が専用マスタリングApple Digital Mastersで登場。本作は決してハービー・ハンコックがジョニ・ミッチェルの名曲をカバーしただけのアルバムではない。ハービーがカナダ出身シンガーソングライターであるジョニの楽曲を多様な角度から見つめ、彼女への深い敬意を込めて紡ぎ直したトリビュート作品であり、グラミー賞受賞も納得の珠玉の一枚だ。ブラジル出身のヴォーカリスト、ルシアーナ・ソウザは“Amelia”でジョニを強く思い起こさせる歌声を披露しつつ、彼女独特の魅力も十分に発揮。一方でティナ・ターナーが“Edith and the Kingpin”で稀なジャジーな面を見せ、 レナード・コーエンはスポークン・ワードの“The Jungle Line”で圧倒する。秀作揃いの中でも堂々と光るノラ・ジョーンズの“Court and Spark”は、 抑えた中にも独創性を感じさせるハービーの演奏が静かに美しい旋律を奏で、ノラのムーディーに漂うヴォーカルが心地よい。さらにジョニ自身も“Tea Leaf Prophecy”でゲスト参加するという充実ぶり。ハービー・ハンコックとウェイン・ショーターはもちろんのこと、バックを務めるバンド（ギタリストのリオーネル・ルエケ、ベーシストのデイヴ・ホランド、ドラマーのヴィニー・カリウタ）も文句なしに素晴らしい。