実直で、真面目で、うそがつけない。そんな人間性が想像できるファーストアルバムだ。1995年に栃木で生まれ、「魔法の絨毯」がネット界隈を中心に注目を浴びたことで時の人となったシンガーソングライターによる、2018年リリースの作品。全曲がアコースティックギターの弾き語りを軸としており、そこにいくつかの楽器で色付けを施した程度のシンプルな演奏で貫かれている。そのため歌と楽曲が引き立つ仕上がりで、彼のいくぶんハスキーな、それでいて芯の通った強いボーカルが堪能できる。歌の多くは思いを寄せる相手に対する独白で、特に「Luv Letter」や「大切な人」のように、真っすぐな気持ちが表現されているのが特徴的。ラストの「I believe in you」でのコーラスは、過去にアコースティックユニットに在籍し、ハーモニーを考えながら歌った経験が生きたものだろう。とにもかくにも複雑な現代において、ここまで誠実さを感じさせる歌は新鮮ですらある。