World

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大阪出身のシンガー・ソングライターがその存在感を高らかに知らしめた一作。デビュー盤「PHILOSOPHY」は10代という若さに見合わぬ完成度と洗練具合が優れていたが、この2ndの特色は彼自身の意思やメッセージといった個人性のほうにシフトしていることだ。わけてもシングルになった “ヘルプミーヘルプミーヘルプミー”、“痛いよ” における痛切な内面の告白は、清が広く注目を集める上で大きな役割を果たした。そんな流れを汲む最たる曲 “ワールド” はアルバム中で最も早い時期に書かれたもので、ここには世界の中で生きているはずの自分たちの存在意義を問う若者の肖像がヴィヴィッドに刻まれている。音楽的な成果が大きいのは Dr.Kyon がサポートした大作 “イザナギの後遺症” で、ジャズやソウル、それに映画音楽といった、このアーティストの広範な知識と実践力が反映された出来。先述の “痛いよ” のほかに “マドモアゼル”、“がんばろう” などで聴かれるストリングスも歌を聴かせる上での有効なアクセントとして機能している。アルバムの骨組みはLAでの録音で、トム・キーンの手堅い助力が奏功している。ソングライティングをはじめ、清の表現スタイルの基盤を雄々しく確立した1枚と言えるだろう。

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