フェイクファー

フェイクファー

新たな変革の波が訪れた8作目。笹路正徳が関わったのはタイトル曲のみで、基本軸はバンドと棚谷祐一(当時カーネーションに在籍)との共同プロデュースとなった。その制作は、特に草野マサムネにとっては試行錯誤の連続だったようで、曲作りは難航し、録音の現場では初めて彼がエレキを弾いたりもしている。ヒットソング「運命の人」の英語の歌詞や「謝々!」でのソウルフルなアレンジといった挑戦的な試みはその一端だろう。そうした過渡期ならではの苦しみはあったものの、センチメンタルな味わいに満ちた「スカーレット」、ギターロックがリリカルなラブソングとして鳴る「冷たい頬」、スローバラード「楓」など印象深い楽曲も多く、アルバム全体としては非常に優れている。そしてここでのさまざまなアプローチは、彼らが進歩していく際の重要な礎となったのである。

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