てん、-モノラル・バージョン-

てん、-モノラル・バージョン-

代表曲が多数収録された3枚目のアルバム「ドラマチック」をクラムボンのひとつのチャプターの節目とするなら、自身のスタジオで制作を始めた「id」から「imagination」を経て本作「てん、」に至るまでの一連の流れを、あるひとつのテーマのもとに聴くことは可能だ。この時期に見られる、大がかりなオーケストレーションなどのアレンジを排して、極力メンバーの「持ち楽器」に徹したアンサンブルへの移行は、アルバムを重ねるごとにモノクロームの度合いを増していくジャケットのアートワークからもその「意思」が伺えるが、そこにはあきらかに、「録音」というトピックにおける彼ら特有の思想の存在を否定できない。そして、「id」や「imagination」から始まった、彼らの「録音」への執着は果たして、本作の「モノラル/ステレオリミックス」の2枚組という前代未聞のフォーマットとして表れた。デモ音源をも思わせるバンドの原初的な衝動が詰め込まれた、ハンマービートが印象的な "アンセム" を始め、ドラムとピアノが音の塊となって向かってくるかの大団円が印象的な "ホムンクルス" 、ロウなエレピの響きとダウナーな原田の歌い方が強烈な "炉" など、そこに何らかの「意思」を見ることなく通り過ぎることはできないモノラル版の録音の数々は、メンバーのミトがプロデュースという名のもとに、腕によりをかけた手腕を発揮している。

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